ツバキかサクラか4
サザンカは歴史は短いが、たいへんな花木である。
しかし欧米人はサザンカに対しては冷淡で、ツバキの品種改良のときの交配親に使えないかといった関心しかないようである。
だから日本にもサザンカ・ブームはおきなかった。
ツバキは日本から出て世界の花になったが、サザンカは日本の花の地位を保留しただけである。
今や園芸にはペンタキープがかかせない。
ただし、中国にはすこし出ている。
日本の花といえば、サクラが代表的というのがいまの日本人の通常感覚であろう。
サクラはツバキとともに記紀、万葉の時代から登場し、日本民族の花の美学の歴史でいちばん重要な存在であった。
古代の文書をくわしく読み、その意味を詮議して、サクラは古代では単に美しい花というだけでなく、農事暦などにも関係して、宗教的意義もあったとする推論がある。
しかしこのような考え方をすると、ツバキの場合にもなにか宗教的意義があったのではないかと、考えさせられる事例がたくさんある。