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2010年07月 アーカイブ

深刻な"言語戦争" 2

ベルギーは、150年前にオランダから独立し、以来、王様をいただく君主国です。

この国の最大の悩みは、国が北部のフランドル地方(オランダ語圏)と南部のワロン地方(フランス語圏)および両語共存の首都とわかれ、対立を繰り返していることです。

"言語戦争"といわれる、かねてからの社会問題です。

この国には政党やその他の諸団体から公的団体まで、すべて2つ存在しています。

たとえば政党は同じ名称でも2つ別個のものとしてあり、組織も方針も異なるのです。

共産党だけが例外で1つですが、党内でそれぞれの地方組織の自治権を強める措置をとっています。

ここの共産党大会は両語の同時通訳付き。

片時もイヤホンを離せません。

ギュット議長はフランドル出身ですが、仏語も上手なパイリンガル。

政治局会議は仏語だけでおこなわれ、パイリンガルがこの党の議艮の前提条件のようです。

フランドル地方の人は、一般に"敵性語"の仏語よりも英語を重視しますが、ほとんどの人は仏語も話します。

しかし、ワロン地方でオランダ語を離す人をわたし自身はあまり知りません。


これは言語が平和共存しているスイスでも、フランス語圏の人に他の言葉ができる人が少ないのと共通しているようです。

深刻な"言語戦争" 3

ベルギーでは戦前、例えばシャルルロア、リエージュの石炭・鉄鋼・繊維など工業でも、政治、文化でも仏語圏が優位を占めてきました。

しかし戦後、北部の発展で地位は逆転しました。

ここ数代の首相がフランドル出身者で占められていることにも、この力の差はあらわれています。

国柄も2つの地域に2分され、統一されたベルギーの料理や文化といったものも見られません。

私はある夜ブリュッセルのレストランで、フランス北部の町リールの新聞編集長に出くわしました。

彼が言うには「劇や音楽を聞きにきたり、食事をしにくるのはパリではなくて、いつもブリュッセル。

車で1時間足らずのここはフランスさ」。

どうもフランス人には、ベルギーを自分たちの庭にみなすような考え方があるように思えます。

実際ここでは実においしいフランス料理を食べることができます。

北部の水の町ブルージュで食べたムール貝のスープやカキのシャンパン煮の味にはとうとうフランスでは出会えませんでした。

ベルギーが損していることの1つは、著名人がみんなフランス人か、オランダ人にみなされてしまうことでしょう。

探偵小説『メグレ警部』のシムノンは、フランス人ではなくベルギー人。

ブリューゲル、ルーベンス、ファン・ダイクらの画家も正確にはベルギー(フランドル)人です。

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